こんにちは。
うどん整備士です。
現代の自動車では、標準装備となっているエアバッグ。
このエアバッグの警告ランプが点灯または点滅することがあります。
このエアバッグ警告灯の故障診断がなかなか厄介であったりします。
今回はプリテンショナー付きシートベルトの故障によってエアバッグ警告灯が点滅したスズキMRワゴンMF22Sの修理を自動車検査員歴6年のうどん整備士が解説します。
お客様来店理由
運転しているといつの間にかエアバッグのランプが点滅していることに気づいたので何か故障しているのか診て欲しいとのことです。
エアバッグランプの点灯または点滅の故障は自動車の走行自体には影響がないため、修理を先送りにしたい方が多いです。
しかし、エアバッグ警告灯の点灯または点滅した状態では車検に通らないのと、何より事故に遭った時、エアバッグが開かない、シートベルトが機能しない等、非常に危険な故障になります。
車両情報
点検方法
まず、診断機を繋いでダイアグコードを確認してみます。
すると、【B1051】運転席リトラクタプリテンショナ系統断線を記録していますね。
リトラクタプリテンショナとは、正面衝突などで車両前方から強い衝撃を受けたときに、装着したシートベルトを瞬時に巻き取り、乗員を拘束し安全性を高める装置です。
シートベルトやエアバッグの故障はエアバッグ系統のダイアグが入ります。
じゃあ、ダイアグ入ってるからシートベルトの見積もり出しますね。と言うのはダメです。
配線の断線でもこのダイアグ入るんで証拠をつかまねばなりませんね。
なんの故障でもいえるのですが、サービスマニュアルをよく読んでダイアグコードの検出ロジックを理解せねばいけません。
【B1051】運転席リトラクタプリテンショナ系統断線のコードはプリテンショナ回路の抵抗が基準値より高い場合に記録されます。
ではシートベルトの抵抗値を測る?
そんなことをすると、シートベルトは巻き上げられ使えなくなってしまいます。
じゃあどうするのかと言うと、
サービスマニュアルに【B1052】運転席リトラクタプリテンショナ系統線間短絡と言うコードがあり、
プリテンショナ回路の抵抗が基準値より低い時に記録されるコードが記載されていました。
ならば、シートベルトのカプラーを外し短絡させてコードが断線から短絡に変われば犯人はプリテンショナーシートベルトと言うことになりますね。
↓画像の〇で囲ったカプラーを銅線で直結し、イグニッションオンにしてみます。
そして診断機を繋ぐと…。
【B1051】運転席リトラクタプリテンショナ系統断線のコードが過去に移り、【B1052】運転席リトラクタプリテンショナ系統線間短絡が現在のコードに記録されました。
と言うことで原因はプリテンショナーシートベルト内部の断線で確定です。
診断機通りの結果でそのまま見積もり出したら早いと思うかも知れませんが、プリテンショナーシートベルトは部品代も4~5万円くらいで高額です。交換して直りませんでしたなどと言う事態は洒落になりませんので💦
修理内容
シートベルトの交換なのですが、新品は高額なので中古で対応といきたいところですが、エアバッグやプリテンショナーシートベルトは中古品を再販することは自動車リサイクル法で禁止されています。
安全性が保証されませんからね💦
新品シートベルトに交換しダイアグを消去して修理完了となりました。
エアバッグ診断にはこの工具が便利!
今回はカプラーを短絡させると言う方法を使いましたが、SRSエアバッグテスターと言う商品があるようです。
内部に抵抗があってエアバッグの代わりにカプラーに刺してダイアグが消えればと言ったような使い方ですね。
価格も安いので試しに一個買って見ることにしました。
これでSRS系統の診断が楽になるはず💦
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