こんにちはうどん整備士です。
2008年10月以降の日本車にはOBD2の搭載が義務化され診断機による故障診断が主流になっています。
診断機の情報を鵜呑みにすると誤診の原因にもなりかねません。
今回は初心者が誤診断しやすい【P0420触媒劣化】の診断について解説していきます。
お客様来店理由
今回来店されたL375Sタントにお乗りのお客様。
メーター内にランプが点灯してこれは何だろうかと言うことで来店されたそうです。
メーターを見るとエンジンチェックランプが点灯しています。

診断機を繋いで見ると、【P0420触媒劣化】のコードがストアされています。

この【P0420触媒劣化】点検してみましょう。
車両情報
【P0420】触媒劣化とは?
【P0420】触媒劣化は2008年10月以降のOBD2搭載義務化により設定されたダイアグコードのひとつです。
触媒の前後に設置されたO2センサーが触媒を通過する前と通過した後の排気ガスの酸素濃度を測定し、その酸素濃度数値の差によって触媒の劣化度合いを判定します。
各メーカーが定めた走行条件で走行中にフロントO2センサー電圧とリアO2センサー電圧の反応遅れが短くなる状態が続くと触媒が劣化していると判断し【P0420触媒劣化】のコードを記憶します。
点検方法
まずこの 【P0420】触媒劣化を検出される条件をみて見ます。
エンジン暖機後、車速 70km/hで走行中、リヤO2 センサ信号の電
圧変動が大きく、フロントO2 センサ~リヤO2 センサ信号の反応遅
れが短い状態が 40 秒以上続いたとき
とサービスマニュアルに記載されています。
前後O2センサーと触媒を交換すればコードは消去できますがお客様に無駄な料金を請求してはなりません。
故障個所を詰めていきましょう。
ちなみに排ガステスターの数値は正常です。
アイドリングの排ガスは触媒関係なく綺麗だったりするので排ガステスターで判断はできません。
診断機を繋ぎエンジン回転数を上下させます。
フロントO2センサーとリアO2センサーの電圧をデータモニターを見ると…。

フロントとリアのO2センサーの電圧がほぼ同じタイミングで上下しています💦
フロントO2センサーを通過した排気ガスが触媒を通過する際に、酸化、還元されずにそのままリアO2センサーまで到達していると言うことですね。
O2センサーの異常ならばこのような挙動はあり得ません。
交換部品は決まりましたね。
修理内容
交換手順
まずフロントバンパーを取り外します。
フロントクロスメンバー辺り外さないと取り出せそうにありませんね。

メンバーを外していきます。


ボンネットラッチも邪魔です。外しましょう。

正面が空けばスッキリしましたね。

フロントO2センサーと遮熱板を外し…。

ボルトが折れやすいので慎重に緩めマフラーを分離します。

エキゾーストマニホールドステーを外して…

マニホールドのボルト6本外せば取り出せます。
チャチャッと新品と入れ替えましょう。

触媒交換後のO2センサーのデータグラフです。

交換前と同じ様に回転を上げて見てもリアのO2センサーの電圧はさほど上昇しません。
全開にして遅れてついてくるようになりました。
ちゃんと触媒が機能している証拠です。
触媒劣化の原因
触媒はフィルターのように汚れを収集するものではありません。
排気ガス中の有害物質を酸化、還元、化学反応で無害化する部品です。
基本的には交換することがない部品のはずです。(あまりにも走行距離が延びると交換必要かも💦)
今回のタントは過去にイグニッションコイルが故障した状態でしばらく使われていたそうです。
その時に触媒にダメージを与えてしまったようです。
リプロで消える?
データモニタ上で何も異常がないのに【P0420】触媒劣化が検出されることがあります。
スズキのキャリーやエブリイ、スバルの一部の車種などに触媒劣化の検出条件が厳し過ぎるものがあるそうです。
そういった場合プログラム書き換えで対応することがあるそうです。
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