商用トラックとして長年生産されてきたマツダボンゴ。
2020年8月にマツダの自社開発は終了し、2022年現在はハイエースのOEMとなってしまいました。
しかし、まだまだマツダ製ボンゴは色々な現場で活躍しています。
今回はそんなボンゴディーゼルエンジンのレアな故障について解説します。
お客様来店理由
ある日の朝「仕事で配達中に突然回転が落ち、エンジンが止まってしまい再始動できなくなった。
引取りに来てほしい」
と、お客様より電話をいただき積載車で引き取りに行くことになりました。
到着してみるとエンジンはもちろん始動不能、メーターを見るとグローランプが点灯していません。
これは嫌な予感がすると思いつつ、ボンゴをお預かりいたしました。
車両情報
配達業で20年使われてもまだ現役!さすがボンゴ!
しかし部品は供給されるのだろうか…。
診断方法
今回エンジンが始動不能でグローランプが不点灯と嫌な予感が漂いますが、見ていきましょう。
まず燃料が噴射ポンプまで吸えているか調べてみます。
ここに透明なシリコンホースをつなぎエアが噛んでいないか調べます。
チューブをつないだ写真撮るの忘れてしまった💦
燃料は正常に吸い込んでいます。
そこで次にメインリレーが作動しているか点検です。
メインリレーに作動音がありません。
そこでメインリレーを点検。
キーONの状態でメインリレーの電源は正常、しかし配線図赤丸とボディアースで計測すると12V
流れます。しかし配線図のメインリレーとつながっているPCMの赤丸とでは電圧がありません。
PCM故障の匂いがしますね。
そこで次に点灯しないグローランプも見てみます。
メーターを取り外しグローランプアース側にテスターをつなぎボディアースに落としてみます。
点灯しませんが12V来ています。
そしてこのグローランプのアースもPCMにつながっています。
やはりPCM内部で何かが起きているようです。
そこでPCMを取り出すことにしました。
PCMを取り外して分解
PCMは運転席足元、クラッチペダル付近に取り付けられています。
ステーのボルトを4本外しカプラーを抜けば取り外せます。
PCM本体を開いてみると観察…。
なんか焦げてますね…。
なんか漏れてます。
PCM交換で確定です。
PCM故障の原因
この噴射ポンプ横の黒テープで巻かれた配線!
FIP補正ROMという部品につながっているのですが、
内部で剥き出しになっており、ショートしていたのです。
短絡したことによりPCMが焼けたのではないかと思われます。
修理内容
PCMを交換するとエンジンは快調に始動することができました。
お客様に話を伺うと
「何か月も前からグローランプが点滅していて普通に走るから車検の時に点検してもらおうと思っていたがまさか止まるとは…。」
とおっしゃっていました。
故障を放置するとより大きな故障を招くと言う事例になりました。
サーキットテスターは絶対必用!
電気系の故障診断を行うにはサーキットテスターが必須です。
安いものなら3000円程度から販売されています。
高級なデジタルテスターのほうが正確な数値が測定できますが、アナログテスターなら安価なものでも正確な数値が測定できます。
私は状況に応じてテスターを使い分けています。
狭いところの電流を測定するクランプメーター付きテスター
大電流が流れる場所に使用するクランプメーター
今回のような細かい脈打つような漏電に対処するためのアナログテスター
の三つを所有しています。
コメント