こんにちは。うどん整備士です。
近年、新車販売の半分がハイブリッドになり、私たち整備士も経験したことのない故障に直面しています。
今回はGP1フィットハイブリッドのIMAシステム異常の故障診断について、自動車検査員歴6年のうどん整備士が解説します。
お客様来店理由
フィットのメーターにIMAシステム異常が表示されたので一度見てほしいと来店されました。
確認してみると…。
IMAとバッテリー警告灯が点灯し、ディスプレイには充電システム点検とIMAシステム異常が交互に表示されています。
この状態で一度エンジンを停止すると始動することが出来ませんでした。
車両情報
点検方法
先ず、ダイアグを確認するために診断機をつなぎます。
【P1634】インバーター回路信号異常と言うダイアグが検出されました。
サービスマニュアルを見ると…。
DTC解説
【P1634】インバーター回路信号異常
モータECUは、インバータと通信を行っている。
インバータからの通信情報が一定時間以上受信できなくなった場合、または受信したデータの異常が一定時間以上発生した場合、モータECUは通信異常と判定し、DTCをストアする。
とあります。
インバーター、コンバーターの故障でこのダイアグが単体で入るのはほぼあり得ない。
恐らく、断線またはヒューズが飛んで通信できなくなった。
そこでヒューズを見ます。
画像の黄色で囲ってある53番の10AヒューズがIMAシステムのヒューズです。
この10Aヒューズがやはり飛んでいました。
ヒューズを交換し、イグニッションONにすると即飛びます。
53番のヒューズはインバーターとIPU冷却ファンにつながっているようです。
そこで、外しやすいIPU冷却ファンの配線を外して見ます。
ラケッジスペースのカバーを外す前に感電防止の為IMAのスイッチを必ずOFFにします。
ラケッジカバーを外すとハイブリッドバッテリーユニットが見えます。
左下にIPU冷却ファンが見えますね。
このIPU冷却ファンのカプラーを外し、IMAスイッチをONに切り替えます。
するとエンジン始動することが出来、ヒューズも飛ばずに警告灯もきえました。
ということで、IPU冷却ファンの内部ショートで間違いない様ですね。
写真には残せてないのですがお客様が来店された時に診断機をつなぎ、データモニターを見ると冷却ファンが止まっていたことにより、コンバーター、ハイブリッドバッテリー共にかなりの高温になっていました。
このまま冷却ファンのみ交換し、修理完了でも走行できるのですが、確実にハイブリッドバッテリーにダメージを与えています。
お客様には冷却ファンのみ交換のリスクを説明し、冷却ファン交換の見積もりと冷却ファンとハイブリッドバッテリー交換の見積もり両方をお渡ししました。
修理内容
IMAの修理は高額になる?
冷却ファンの交換だけでも5万円近い修理代がかかります。
後にハイブリッドバッテリーの寿命を迎えると更に15万円程度の修理代が掛かって来ます。
冷却ファン交換後にバッテリーがダメになると工賃も二重にかかって高額になりますね💦
乗り換えも検討すべき
今回のフィットハイブリッドのお客様は走行距離も17万㎞と多くなっていたので、乗り換えされることになりました。
どんな故障でもそうなのですが、高額な修理を受ける前に消耗品の交換などこれからかかる費用を考えると乗り換えも検討した方が良い場合もあります。
お客様に総合的なアドバイスができるように日々、勉強が必要ですね。
ヒューズ切れ診断に便利な工具もある
ヒューズ切れの故障診断をする時に何個もヒューズを犠牲にすることありますよね💦
そんな時はヒューズに代わるヒューズブレーカーを使うとヒューズを無駄遣いせずに済みます。
近頃のミニヒューズには、
下のAmazonリンクの ブレーカーヒューズテストキット が便利です。
ブレーカーヒューズ:5、7.5、10、15、20、25、30A 各1 ヒューズホルダー×1
がセットになっていて、過電流によるヒューズ切れの検査に最適な復帰可能なヒューズです。
リセットボタンを押して、約300回の繰り返し再利用ができるそうです。
付属のヒューズホルダーテストリードを使えば形状が違うヒューズやカプラーにも差し込めるので、
診断の幅が広がります。
しかし、良く使うものは、何回でも使えるキジマ(Kijima) のヒューズブレーカーを持って置きたいですね。
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