
なんだ!アクセル踏んでも全然スピードが出ない。
振動もやばいぞ!

この症状はイグニッションコイルの故障のようですね。
様々な要因があるので点検いたしましょう。
前回イグニッションコイルの故障について説明しましたが今回はその原因と修理内容手順について解説いたします。ホンダ車によくあるカムシャフトホルダー外しの際のちょっとした小技もご紹介いたしますのでよろしくお願いいたします。
依頼内容
今回加速が悪いとの理由でご来店いただいたJB1ライフのお客様のお話を伺ってみると
ということが分かりました。
故障原因
エンジンをかけてみるとどうやら一気筒失火しているようです。パワーバランステストを行い調べてみると三番のイグニッションコイルが故障しているようです。
パワーバランステストテストについて知りたい方は、こちらの記事で解説しております。
イグニッションコイルを取り外すとプラグホールのなかにオイルが漏れ、溜まっていました。
昔のホンダ車の特徴なのですが下の画像19番のところにOリングがいますね。タペットカバーガスケットはよく交換されているのですがここは見落としがちの車が結構見かけます。

この状態ですとイグニッションコイルを交換してもオイル漏れにより再度故障する原因になりますので修理が必要です。観察するとタペットカバーではなくカムシャフトホルダーのOリングがダメになっているようです。
修理内容
今回交換する部品はタイミングベルト交換時期と重なっていたのでお客様に説明しこのようになりました。
交換手順
この時代のホンダ車はエンジンの回転方向が逆回転です。若い整備士さんだと「んっ?」と思うかも知れませんが整備する上で特に変わったところはありません。
タペットカバー取り外し
最初に今回はタイミングベルト交換も一緒に行うのでエアクリーナーボックスとウォッシャータンクを取り外し邪魔になる配線のカプラーを避けて下の画像の様な状態にしておきます。

タペットカバーを取り外します。

プラグホールオイル漏れと言うとタペットカバーガスケットとプラグホールオイルシールを交換しがちですがこの時代のホンダはもう一段下のカムシャフトホルダー下にOリングがいます。
タイミングベルト取り外し
ファンベルトクーラーベルトを取り外しクランクプーリーを取り外すのですが、ボディが邪魔で工具が汎用プーリーホルダーが使えません。プーリーを保持する為の専用工具が必要になります。
外すシーンは写真撮るの忘れてしまって外れた後なのですがプーリーは六角の溝があり専用ホルダーで保持してプーリーを外します。

私の働いている工場では先輩の手作りSSTの出番です。

しかし意外と安くプーリーホルダー売ってますね。

パンタグラフジャッキでエンジンを支えエンジンマウントを取り外しタイミングカバーを取り外しタイミングベルトを取り外しにかかります。
クランクを回し圧縮上死点に合わせカムシャフトプーリークランクスプロケットウォータポンププーリーを確認します。



合わせマークが全て合っていることを確認しタイミングテンショナーを緩めタイミングべるとを取り外します。
カムシャフトホルダー取り外し&小技
カムシャフトホルダーのボルトを取り外すとスプリングの反発力でバラけてしまうので私は緩めた段階でタイラップでバラけるのを防ぎます。ちゃんと手で押さえていれば良いだけなのですが何度かバラバラになったことがあるので…。

今回の目的であるoリングを交換し組み付けて行きます。
カムホルダー両端の部分、画像の場所に液体ガスケットを塗り組み付けていきましょう。

カムシャフトホルダーの締め付けトルクは22N.mです。一気に閉めず何回かに分けて締め付けます。

ここまでくればあとはカムのオイルシールタペットサーキュラーを交換しタイミングベルトテンショナーは新品で元通りに組み付けてイグニッションコイルを新品に交換し終了です。
まとめ
今回の修理でこのライフは快調に走るようになりました。以前も違う整備工場でイグニッションコイルとタペットカバーガスケットを、交換したそうですがカムシャフトホルダー下のOリングは交換しなかったようです。たかがプラグホールオイル漏れとセオリーに当てはめていると再発の原因になりますね。部品図をよく見て考えることの大事さを痛感する事例になりました。

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