こんにちは。
うどん整備士です。
今回はYV37スカイラインのサーモスタットとウォーターポンプ故障について解説します。
YV37スカイラインはスカイラインなのに直列4気筒ダウンサイジングターボ!
しかもダイムラー製の「274型」と言う、メルセデス・ベンツCクラスやEクラスで250とされるグレードに搭載されているエンジンを使用しています。
レア車ですね~。
普段触ることない車種なので楽しみです。
しかし、この時レア車ゆえに苦悩することになるとは、思いもしませんでした。
お客様来店理由
メーターの水温計がいきなり上昇し出したので
オーバーヒートしたかも…
稔のためロードサービスを呼びました。
エンジンにダメになる前にロードサービスを呼んで
頂いて助かります
原因を特定ししっかり修理いたします
水温が上昇し続けたまま走行しているとエンジンに大ダメージを与えてしまいます。
このスカイラインのお客様は自動車の知識に明るい方でオーバーヒートする前にレッカーを手配していただけたので助かりました。
車両情報
点検内容
先ず水温が上がりすぎると言う時に疑うべきところは次の点ではないでしょうか?
以上を踏まえて点検していきます。
先ずクーラントの量は正常。
ラジエーター等漏れなし。
そこでサーモスタットは作動しているのか点検します。
診断機をつなぎ暖気しデータをの水温をチェックしながらサーモの開弁を点検します。
YV37のサーモ開弁温度である95度を過ぎてもインレットホースは冷たいままです。
先に電動ファンが回ってしまっています。
これはサーモの異常は間違いないようです。
しかし、それだけが原因とは思えません。
サーモが完全に開いてからも水温の上昇が止まらない!
サービスマニュアルを見るとこのYV37スカイラインの冷却システムは普通ではありません!
念のためウォーターポンプの概要とイラストを見てみる
何だこれは?
ウォーターポンプにも開弁装置が付いているだと⁉
イラストの④のボールロータリーバルブを②のダイアフラムで開閉し冷却水の流れを制御しているようです。
これサーモスタットいらないのでは…。
このバルブの開弁条件は?
この条件から外れた際に通路が解放されるようです。
ボールロータリーバルブを動かしてみる。
画像奥側のダイアフラムがバルブを作動させる装置です。
負圧をかけると作動音はしますがロッドが見えないので何とも言えない。
先ほどの条件から外れた時に負圧を解除しバルブを開放します。
となると、バキュームホースを外した状態だと冷却水通路は全開放となり、
水温は下がるはずです。
しかし、負圧を解除した状態でも水温の上昇は止まらない。
ウォーターポンプ内で何か起きているのは間違いない!
修理内容が確定されました。
修理内容
交換手順
サーモスタット交換
エアクリーナーやダクトを取り外し。
インレットマニホールドを取り外すためにこのエアホースを外すのがすごく難しい💦
インマニも取り外すと。
サーモがみえました。
このパイプごとASSY交換になります。
かなり端折っていますが相当面倒です💦
ウォーターポンプ交換
続いてウォーターポンプ交換も交換していきます。
ターボ裏に隠れているため取り外すものがかなり多いです。
先ずエンジンコンピューターや邪魔になるステーを取り外します。
トルクスを多用しているので外車っぽいです。
遮熱板やパイプを取り外し。
下側に回りキャタリストケース取付ボルトを外し上側に引き出します。
まさかのターボとエキゾーストマニホールドが一体型!
このターボのパイプ類を分離しエキゾーストマニホールドごと取り出すと。
やっとウォーターポンプ交換までたどり着きました💦
ウォーターポンプを観察してみる
ウォーターポンプ大きいですね。
死角になっており見えませんでしたが、水漏れを起こしていたようです。
ダイアフラムに負圧をかけるとロッドが動くのですがクーラントの塊がじゃまして全開放の位置まで戻ることが出来なくなってました。
まとめ
今回の故障診断なのですが、システムを知っていれば直ぐ診断が終わったはずです。
先入観に捕らわれ非常に時間がかかってしまいました。
普段の整備でこの状況だとサーモの交換で終わらせてしまうことが多いと思います。
が、このYV37スカイラインのように特殊な装置を備えている自動車もあります。
冷却システムの整備マニュアルを見ることなど中々ないと思いますが、故障診断を正確に行う為に
システムを理解する為に、整備書を読む必要性を痛感した事例でした。
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